チャイニーズハムスターの飼育について

はじめに


チャイニーズハムスターはお好きですか。

私はチャイニーズハムスター、略してチャイハムの魅力にとりつかれ、これまでにも何匹か飼ってきました。決して経験豊富というわけではないですが、今までの経験を踏まえて、チャイハムの飼い方についてまとめたいと思います。

動物の専門家ではないので、飼育書・インターネットサイト・人から聞いた話と自分の体験を自分なりに消化してまとめています。

※ハムスターみんなそうですが、それぞれ個体差があります。ここに書いてあることが必ずしもあてはまらないこともあります。

「ハムスターを飼うのは初めて!」という方は、ハムスターの飼育情報が充実しているサイトが他にもたくさんありますし、市販されている飼育書を一冊手元に用意することをお勧めします。
「ハムスター(または他の小動物)は飼ったことがある。チャイニーズに興味があるけど、よく知らない」という方、飼い始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔するのはヒトにもハムにもよくありません。ぜひこちらを見ていってください。

チャイニーズハムスターに限らない飼育情報なども徐々に追加していきたいと思っています。

■使用用語説明■
チャイハム/チャイニーズ:チャイニーズハムスターの略
プラケ:プラスチックケースの略。ここでは材質がガラス・プラスチック・アクリルなどの水槽タイプの飼育容器の総称
金網ケージ:側面・天井などが針金でくまれている飼育ケージの総称(変形ケージ含む)
以下の文章で「ケージ」としか書いていない場合、プラケも含む飼育容器全般を指す

基本データと体の特徴

和名:モンゴルキヌゲネズミ
分類:ネズミ科キヌゲネズミ亜科キヌゲネズミ属
生息地:中国北部、モンゴル自治区
体重:オス 35〜45g メス 25〜35g

他のドワーフハムスターとは属が異なり、性質や体つきなど違いを感じることも多いです。

まず、体長が長い。縮んでると普通のハムスターですが、伸びると結構細長く、スリムなハムスターです。

手足の先は短いうぶ毛が生えているそうです(肉眼では不明)。見た目はピンク色をしています。ジャンガリアンのようにふさふさとした毛は生えてないのでグリップ力はあります。

体重は飼育書によってかなりばらつきがあり、上記は大体の目安です。
オスとメスで体格差があり、オスは大きめです。生まれつきの体格などにより、同じ体重でもやせ気味だったり太り気味だったりするので、心配なときは獣医さんに相談しましょう。
ただ、あまり食べ過ぎ太り過ぎはないように感じます。
体重の増加は生後20週から22週くらいまで続きます。

生後1ヶ月半もすると雌雄の区別は明確になってきます。オスは体の割に大きなおタマさん(精巣)を持ちます。大きくてびっくりするかもしれませんが、病気ではないです。
生後約3ヶ月で性成熟を迎えます。オスは性成熟すると先端に赤い部分(精巣上体尾)が出てきます。

カラーや模様のバリエーションは多くなく、ノーマル(野生色)とシルバーパイド(シルバーやパイドとも呼ばれる)の2種類に分けられます。
その他まれにほととんど白の個体も見られるようですが、現実的に手に入るものとしては上記2種類のみといっていいでしょう。
パイド(ぶち)といっても白い部分と色がついた部分の境目ははっきりしません。 白い部分の多さもノーマルに近いのからかなり白っぽいものまでさまざまです。季節や年齢によっても微妙に毛色やぶちの割合が変化します。

  • 毛色ノーマル
    顔のほとんどと背中全体が茶色っぽい。腹側は白い。
    (メス)
  • 毛色パイド
    色はノーマルに近い茶色〜グレーっぽい茶色。顔はおでこ部分が白っぽい場合が多い。
    背中側はまだらに白い部分がまじる。腹側は白い。
    チャイニーズハムスターパイドオス (オス)チャイニーズハムスターパイドオス(オス)
    チャイニーズハムスターパイドメス(メス)

性格と行動

チャイニーズハムスターは基本的に大変臆病でびびりやさんです。この性格から以下のような行動がよく見られます(特に環境に慣れていない場合)。

  • 周りが明るいうちは巣などに隠れて、ほとんど姿を見せない
  • 警戒心が強く、周りの動き・音に敏感に反応する
  • 人間の姿を認めたり、ケージに手が入ってきたりしたら逃げる、または固まる
  • 手で捕まえようとすると飛んで逃げる、手に乗らない
  • 周りが暗くなると活発に活動する
  • ケージの外に出すと、好物も目に入らないくらいパニックになる

また特徴的な行動として

  • 動きがすばやい
  • 登ったり降りたりするのが得意

があります。

一部の飼育書に「おとなしく、人によく馴れる」とありますが、あまり当たっていないと思います。
おとなしいように見えるのはおびえてじっと動かないことがよくあるためで、人にもすぐには馴れません。最初から無警戒に手に乗ってきたりすることはほとんどないです。
むしろ飼い始めは、巣などに隠れてなかなか姿が見られないことがよくあります。
自分から積極的に攻撃することはあまりありませんが、怖さから噛むこともあります。
警戒を解くように根気よく接していけば、ある程度は馴れますが時間がかかります。外に出して一緒に遊ぶというより、多少距離を置いてかわいい仕草をながめる、時々おやつなどをあげて触れ合う、というようなお付き合いがあっていると思います。

習慣的な散歩は必要ありません。
自分のテリトリー(普通はケージ内)以外の場所では非常におびえることと、動きがすばやいので不用意に外に出すことはお勧めできません。ケージの外に出す場合は十分注意してください。
我が家では人に馴らす意味で時々ケージ外に出す場合もありますが、ハムスターサークル内に行動範囲を限定するなどして、目を離すことはありません。

(我が家での例)
えぴな(1匹目)はきつめの甘噛みをしたりすることがあり、アピールも派手です。どちらかというと気が強いタイプ。最初のうちはほとんど姿を見せませんでしたが、根気よく手乗り訓練および外に出したときにおやつを与えることを繰り返して、6ヶ月くらいはかかりましたが自分から手に乗るようになりました。ただし、手のひらの上にじっとしていなくて逃げ出そうとするので、あぶなっかしいです。
散歩の時は部屋着の中を探検したり、人の体の上を登ったり降りたりしています。普段は巣箱にこもりっきりです。りおれ(2匹目)は甘噛みもほとんどしないおっとりした性格ですが、しつこい手乗り訓練にもかかわらずほとんど手に乗ろうとしません。手に乗らないとおやつを受け取れないような場合でもあっさりおやつをあきらめます。外に出すとおやつも受け取らないし、手乗りは最近は少々あきらめぎみです。でも手ですくうようにすれば暴れずにそのまましがみついてくれるので、扱いは楽です。散歩はほとんどしません。
追記
1歳半ごろからおやつなどのアピールをよくするようになりました。ごはん時などは外に出て待っていることも良くあります。
巣箱の外に出ているときは大抵何か要求しているので、そういう時に手を入れてしばらく待っていると手に乗ってくるようになりました。プラケの外に出しているときもおやつも受け取るようになりました。同じチャイハムでもいろんな性格があるみたいです。

チャイハムの飼育について

飼育容器

チャイニーズハムスターの特徴として、(ハムスターにしては)登ったり降りたりなどの上下の運動に強いというものがあります。
金網ケージで飼う場合、網を簡単に登ってしまうので、上下左右どこにも逃げられるような隙間がないことが重要です。
仔ハムやメスは体が小さく狭いすきまからも抜け出せるので、要注意です。

ハムスターの飼育容器としては大きく分けて金網ケージと水槽型ケース(ガラス水槽、プラケース、衣装ケースなど)があります。 どちらを選択するかは飼い主さんの都合・好みになります。
私のおすすめはプラケでの飼育です。
プラケでも備品に登ったりするので、ふたは必要です(ふたは人間があやまってプラケ上に物を落とした時の安全確保の意味もあります)。

広さはどれくらい必要か

容器が大きいと重かったりして掃除が大変になるので、自分が扱える範囲で広めのものがいいかなと思います。ただし狭くてもゴールデン用ケージの床面積くらいはあってほしいところです。

現実的にはオーダーや完全自作でない限り市販のプラケはそれほど種類がありません。
市販のプラケ以外では、衣装ケースが安価でサイズもいろいろあり、軽いため大きいサイズでも扱いやすいです。飼育用プラケに比べると底のプラスチックが薄くて、回し車などの備品の安定が悪い場合があるかもしれません。物によりさまざまなので、選ぶときに注意してみてください。

床面積を稼ぐために中2階を設置する方法があります。
チャイニーズは登りも降りるのも器用にこなすので悪くないかなと思います。落ちても危なくないくらいの高さにしておくのが無難ですが。
ただし脱走のリスクが上がるのでご注意を。

深さはどれくらい必要か

私の経験的にはプラケなら25cm〜30cmというところです。
チャイニーズハムスターは(ボトルの形、取り付け位置にもよりますが)ボトルに登ることができるので、そこから体を伸ばしてもプラケのふちに届かないくらいが望ましいです。(登らないコもいます)
オスの方が体が大きいので、うちの場合深さ30cmでもボトルから背伸びすると上まで届いてしまいました。
それ以上の深さになると容器が限定されることと湿気もこもりやすくなるので、深くても30cmぐらいが現実的かと思います。

必要な備品

巣箱または身を隠せる場所が必要です。小動物は身を隠せないとストレスがかかります。
チャイニーズはどこでもおしっこをしてしまうので、木製巣箱だと不衛生かもしれません。洗えるものか底のない巣箱がいいでしょう。あるいは紙箱なら汚れたら取り替えられます。
巣箱を入れない場合は、床材・巣材を多めに入れておけば、勝手に巣のようなものを作ると思います。
後は回し車を。チャイニーズは体長が長いので、ドワーフ用とされている回し車だと小さい場合があります。大きめのものを用意しましょう。

具体的な飼育用品については「飼育用品/グッズ」をご覧ください。

食べ物

基本的には他のハムスターと同様です。ペレットを主食にしてバランスよく栄養が取れるようにしてあげましょう。
人間用に味のついた食べ物はあげないようにしましょう。
副食として野菜、果物、時々は豆腐、ゆで卵の卵白(黄身は脂肪が多いので通常は避ける)、ごま、ヨーグルトなども少量あげるとよろこぶでしょう。
食べ過ぎ・太り過ぎのケースはほとんどないので、健康であれば食餌制限などは必要ないと思います。おやつの量も過度でなければあまり気にしなくてもいいと思います。

具体的な飼育用品については「飼育用品/グッズ」をご覧ください。

トイレ

チャイニーズはおしっこの場所を決めません
気分のままにどこでもしたり、数日毎に場所を変えたりといろいろありますが、一箇所に決めることはあまり無いと思っていいでしょう。
トイレ容器を設置しても本来の用途で使われることはあまりないと思います。隠れ家的に使われる場合もあるので、設置するしないはご自由に。
また、回し車を回しながらもおしっこしてしまいます。あきらめましょう

以上のように、トイレを決めないため臭いがすることがあります(プラケ飼育の場合、特に夏場)。できればまめに汚れている物を洗う、床材の汚れている部分を取り除く等で対処しましょう。
体臭自体は少ないと思います。

複数飼育について

チャイニーズは同じケージに複数頭飼うことができ、そのように飼っていらっしゃる方もいます。しかし安易に実行してほしくないので、やや辛めの立場で考察します。

実際に私が複数飼育の子たちを観察した経験からいうと、群れ的行動はほとんど見られませんでした。
ばらばらに行動し、自分以外の個体のことは通常はあまり気にならないという感じです。群れでないとさびしいということはないようです。
おやつなどをめぐってはこぜりあいになることもあり、なかなか微妙なバランスの元になりたっていると思いました。
よって単独飼育が基本だが、条件が合えば複数飼育も可能と私は考えています。

もしやるとしたら…

複数飼育が成功するケースとしては、

  • 兄弟・姉妹で生後まもなくからずっと一緒に飼育するケース
  • 母子(メス)で子供が生まれてから同居を続けるケース

と思われます。(繁殖を目的としているのでない限り同性同士が鉄則です。繁殖でも出産前には母ハム単独飼育にすること)縄張り意識がすでにできている大人同士を会わせると危険です。
頭数に見合った広さのケージが必要で、狭いところに何匹もだとストレスになり、けんかになることがあります。あとは個々の性格や相性によってだめな場合もあるでしょう。
ずっとうまくいっていても、ある日突然大げんかをして一緒に暮らせなくなる場合もあるかと思います。
複数飼育を実行される方は、そういう場合を念頭においていつでも分けられる準備をしていてください。

複数飼育のメリットとデメリット

複数飼育のメリットとしては、

  • ケージの数が少なくてすむ(ただしそれなりの大きさが必要)
  • 群れているさまを見て楽しむ

といったところでしょうか。デメリットとしては、

  • 人間に馴れにくいかも
  • 一匹一匹に合わせてえさを用意することができず、食餌のバランスが取りにくい(強い子がおいしいえさを独占してしまうかも)
  • 病気が発見しにくい。伝染性の病気の場合、一匹が病気だと他にもうつる可能性が高い
  • いじめが発生する場合がある

思いつくことを述べましたが、実行する際はぜひ慎重に考えてからにしてください。

繁殖について

里親探しは大変です。生まれてくる子供を全部自分で面倒を見るくらいの心構えで挑んでください。

他のハムスターの繁殖についての注意に準じますが、母体への影響を考えて出産は若いうちが望ましいです。
雌は初産なら8ヶ月くらい、初産でなくても1歳を越えないようにしましょう。
雄はある程度歳をとると妊娠させる能力が徐々に落ちてくると考えられます。確率は落ちるとしても、元気であれば1歳半くらいまでは大丈夫かもしれません。
また、雄と同居させたまま出産させると、出産後すぐに発情が来て連続妊娠する可能性があります。母体に負担がかかりますし、生まれる子供の数も増えて里親探しなどに支障が出ると考えられるので、別居させましょう。

一般にチャイハムは繁殖が難しいようです。雌が雄を断固拒否したり、交尾しても妊娠しなかったり。
チャイハムも多くのねずみと同様、雌は4、5日おきに発情日が来ます。しかし発情しているかどうかは外からはまずわかりません。そのため、連続して5日から1週間くらい、毎日会わせるか、ひどいけんかをしないようなら同居させるといいでしょう(けんかには十分注意して、自信のない場合は同居はやめましょう)。
妊娠すると雌の気が立ってけんかになるかもしれないので、交尾が確認されたら同居を解消しましょう。

うまく妊娠・出産となった場合、神経質な子が多いチャイハムなので、世話は最小限にしてそっとしておきましょう。えさは、この時期はたんぱく質・カロリーを増やした栄養のあるものを多めに与えるようにします。ペットミルクを併用するといいでしょう。
母親の性格によりますが、目安として仔ハムの目が開くまでは触らないようにしましょう。

繁殖に成功したときのこととブログの育児記録カテゴリーにまとめています。